何か物事を始める時、最初はやる気満々だったのに途中でやりたくなくなったり、ぺースが落ちたりする事ってありますよね?
でも、終わりが見えたとたん、なんだか急にまたやる気が!
1度や2度あなたも経験があるのではないでしょうか。その原因は『目標勾配仮説』です。
集客にも顧客満足度アップにも利用出来る『目標勾配仮設』の正しい取り扱い方法についてのお話です。
目次
目標勾配仮設とは?
『目標勾配仮設』とは心理学の言葉で、ざっくりと言ってしまえば
目標に近づけば近づくほど、その目標に対する価値が高まり達成しようとするようになる
という心理の事です。
人は価値が高まると、何としてでもやり遂げようとなります。
途中で「もう無理だ」「嫌だ、やめたい」と思っていたのに、ゴールが目の前に見えてくると「もう少しだから最後まで頑張るぞ!」とスタート時以上の力が湧いてくるのです。
マラソンなどは特にそう感じますよね。
最後のグラウンド1周だけが、やたら速くなって短距離走みたいになっていた記憶はありませんか?
無料になる欲求の刺激
実際に実験でも証明されています。
あるカフェの話ですが「コーヒーを10杯飲むと1杯無料」というカードを渡したところ、10杯目に近づけば近づくほど、コーヒーを飲む頻度が上がりました。
「1杯無料でコーヒーをもらう」という欲求が、目標達成に近づくほど強くなったことが実証された結果です。
ということは、このコーヒーで言えば、問題は最初の1、2杯目ですよね?そこで離脱しないようにする事が大切になってきます。
更に最近ではポイントが溜まるカードも面倒くさがって出さない時が多いです。財布と一緒にしていないと駄目ですね・・。
僕ほどではないにしても、同じように溜められない方もいるはずです。でもちょっとした事でその問題を解決出来ます。
スタート段階で有利に見せる
実は先ほどのコーヒーが1杯無料になるカードの実験ですが、もう1つの実験が同時に行われていました。
それは2種類のカードを使った実験です。下記の内容のカードをそれぞれ渡しました。
- スタンプが10個押せるカードを渡す。スタンプは1つも押されていない状態で被験者にカードを渡す。
- スタンプが12個押せるカードを渡す。スタンプは2つ押されている状態で被験者にカードを渡す。
この2種類のカード、両方ともコーヒーを1杯無料でもらうには10個のスタンプを押してもらう必要があります。数の条件は全く同じです。
しかし、最初に2つスタンプが押されているカードを渡された人の方が、コーヒーを買う頻度が高かったのです。
理由は、2つのスタンプが押されているので、ゴールである12個に向かって既に進んでいるという感覚になっているからです。
必要なスタンプの数は全く同じにも関わらずです。
非常に興味深い結果ですよね?
ではどうやって集客や顧客満足に繋げるか
リピート率を上げるために『目標勾配仮説』を使う
先ほどのコーヒーと同じように、お店への来店頻度や、商品販売のリピート率を上げたいのであれば、この実験と同様に
- 最初の段階で既にスタートをきっているように見せる
- ゴールに近づいているように見せる
という方法は効果的です。
スタンプカードはもちろん、ポイントカードであれば新規登録時にポイントを付与する事で、既に目標に向かって進んでいる気持ちになるでしょう。
最近は多くの企業が取り入れていますが、「登録するだけで3000円分のポイントをプレゼント」などとよく見ますよね?他がやっているから差別化出来ないと思うかもしれませんが、あなたがライバルに勝ちたいなら、
- まずは他がやってうまくいっている手法は取り入れる
- その後、他との違いや更なるお客様への価値を加える
という順番が大切です。
どこもがやっている=少なからずマイナスにはなっていない
という事がほとんどです。(中には何も考えずにほったらかしの場合もありますので、ほとんどと言いました。。)
もちろん絶対ではありませんし、ただ見たままで真似すれば良いわけではありません。
- なぜそのポイント数なのか
- なぜそのタイミングなのか
- なぜその有効期間なのか
などなど、たくさんの「なぜ」を知った上で真似をする事が重要ですが、まずは「ライバルがやっているから嫌だ」という意識を取る事から始めて下さい。
売りたい商品を販売するために『目標勾配仮説』を使う
あなたがもし売りたい商品があり、その数が少ないのであれば(少ない在庫を処分したい時など)、そこでも『目標勾配仮説』を使う事が出来ます。
やり方は、例えばお店でポップを使っている場合ですと
「目標の100個まで残り3つ」とポップを掲げます。
「そんな事で?」と思うかもしれませんが、「在庫残り3つ」というのとは違った結果が見られます。
何故なら「目標まであと少し」というのがはっきりとわかっているからです。
それがお客様自身の目標ではないにも関わらず、目標が近いと達成したいと思ってしまうからです。
ちなみに在庫を処分したい時に「在庫残り3つ」は効果がほぼないです。(もちろん見せ方によりますので、単純に言葉だけで考えてという意味です)
なぜなら、
在庫数を掲げて効果があるのは人気商品の場合です。
一方で、この「目標まで」というのは、人気商品である必要がありません。
特に地域密着型であれば効果は抜群ですので、1度試してみて下さい。
お客様の満足度や達成率を上げるために『目標勾配仮説』を使う
このブログを読んでくれている方には、特にここが重要かもしれません。
インストラクターやコーチ、コンサルタントのような“ひとりビジネス”をしている方ですと、お客様の目標を聞く事が多いと思います。そこで大きな目標などを設定したりするかもしれません。
ですが、大きな目標や時間がかかる事だけだと、お客様はゴールが見えない事でやる気がなくなったりします。ですので、最終的なゴールのために、着実に進んでいるという事を見せる必要があります。
例えばあなたがパーソナルジムのインストラクターだとします。
- お客様の目標は半年で10キロのダイエット
- あなたは半年で確実に10キロダイエットに成功するメソッドを持っている
- しかし見てわかるくらいの効果が出るのは3ヶ月目以降
だとしたらどうでしょうか?
最初の3ヶ月でやる気がなくなりそうですよね?
当然インストラクターであるあなたは、効果が出る時期について説明します。今までの効果実証済の写真なども見せるはずです。それを見てお客様は納得し、申込みます。
ですが、残念ながらそれでも最初の3ヶ月を必死に頑張れる人は少ないのが人間です。本当に大丈夫か?という風に思い始めてしまいます。
ではどうするか?
短期間の目標と、それがどう最終的な結果に繋がるかを説明します。
例えば(ここで話している内容に根拠はありません。勝手に作ってますのでご了承下さい)
<1ヶ月目>
まずは運動に慣れます。運動に慣れる事で体が痩せるための準備に入ります。ですが体は変化が嫌いです。運動なんてしないで欲しい、痩せたくないと思っています。ですので最初の1ヶ月は体との我慢比べの時期です。ちゃんと運動し続ける事が出来、慣れてきたと感じたら、その時は体の弱い気持ちに打ち勝ったという事です。なので、1ヶ月目は○○さん自身が変化を感じなくても、体の中は変化しています。10キロ痩せる準備が整います。
⇒変化を感じなくても『運動に慣れた』と感じた事が、着実にゴールに向かっていると理解してもらう。
<2ヶ月目>
既に体は痩せる準備が整っています。とは言えすぐに大きな変化が出るわけではありません。ホップステップジャンプの「ホップ」にあたるのが、この2ヶ月目です。ここでの目標は『0.5キロ』痩せる事です。10キロ痩せたいのに2ヶ月で0.5キロだと不安になるかもしれませんが、一番大変なのはスタートさせる時です。
自転車と一緒で、漕ぎ始めが一番辛いです。ですが、スピードがのってくれば漕ぐのも大変じゃなくなってきますよね?ダイエットも同じで、2ヶ月目は漕ぎ始める時期なので、0.5キロと言っていますが、実際はほんの少しでも痩せる事が出来ればこの時期としては成功です。逆にここで太ってしまうと、厳しくなってきますので、日々の生活も注意していきましょう。
⇒この時期ではほんの少しでも痩せる事が出来れば、最終的なゴールに向かって着実に進んでいると理解してもらう。例え100グラムでも痩せたらこの時期としての目標は達成なので、10キロに対して考えると不安になる数字だが、着実に目標はクリアしているので、やる気をなくす事が少なくなる。
かなり無理やり感はありますが、要は小さな成功を積み重ねる事で、大きな目標までを『難しい』『無理でしょう』と諦めさせなくします。
一つ一つは小さくても、着実に最終的なゴールに向かい、そしてそのゴールが見えてきたら、お客様自身の達成へのスピードが上がるというわけです。
もちろん全てがそんなに上手くいくわけではありません。ですが、疲れていても5キロ先のゴールへ走るのはしんどいですが、100メートル先がゴールなら頑張れますよね?
集客だけじゃなく、部下や子育てにも使えます
ちょっと話がずれますが、この「目標勾配仮説」は、部下への指導や子育てにも非常に役に立ちます。
例えば、いつもテストで30点しか取れない子どもがいたとします。
その子どもに
「何でまた30点なんだ!次こそは100点取れるようにちゃんと勉強しろ!」
と言った所でやれるわけありません。
もしかしたらその日くらいは勉強するかもしれませんが、すぐに
「どうせ100点なんて無理だし」
となってやめてしまうでしょう。
でもそこで怒りたい気持ちをぐっと抑えて
「次は40点目指すように頑張ってみよう(30点取った事を褒めるとより効果があります)」
と言ったらどうでしょうか?。
実際に取れるかは別としても、100点を目指せと言われた時よりも頑張れるのではないでしょうか。
あなたが部下や子どもにもっと結果を出して欲しいと思うのであれば
- 現時点で出来ている事を褒める事で、その出来ている部分を大きくみせる
- 目標までの距離を短く見えるようにする
この2点を続ければ、おのずと本来求めていた最終目標に届く(かもしれません)。
まとめ
目標が近づくほど、その目標に価値を感じ達成したくなる『目標勾配仮説』についてお話しました。
対お客様という事ばかりに意識はいきがちですが、あなた自身や従業員の目標設定にもいかす事で、業務効率も上がり、結果として売上に繋がるかもしれません。
こんな単純な事で・・・と思うかもしれませんが、信じる事そして試してみる事は非常に大切です。
お金がかかる事を試して下さいと言っているわけではありません。
無料で今すぐ出来る事をお話しました。ですので、是非試してみてとほしいと思います。
とは言っても、どうしても無料だとやらない、そして本気にならないというのが人間ですけどね。。
大川
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